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2013.11.27
メーカー純正の功罪 (小田原市)
11月20日にシリンダーが鍵をさしても回らない作業を紹介しましたが、同じお客さんからまた回らないということで行ってきました。
う~ん、そんなはずはないのだけどなあ・・・こりゃもう交換しかないかな・・・そんな弱気な気持も少々。
前回触った感じでは、交換も必要ないし、その時点では完全に復旧したと思われた。
とりあえず今日中に復旧させて欲しいと言うので現場には夜7時、ゆっくりくつろぎたい時間だよ~、でもこうなったら逆にとことんやってやる!
現場で状況を確認、う~ん、言われた通り鍵は回り難い。しかし、挿して一息つき左右に振ってやるといきなり回りだすと暫くは調子が良い。
前回の復旧時とは全く違う状況だ。
そこにお客さんが、「ネットに書いてあったんだけど、鍵穴に潤滑スプレーは良くないんじゃない?」と言われた。
前回はまさにその作業をしたのだし、またそれによるトラブルはこれまで経験は無い。
しかし、メーカーのホームページなどにはメーカー純正のスプレーを使うことを指示していた。そのせいかお客さんは自信でそのスプレーを既に購入していたのだ。
潤滑スプレーは自分の経験によるところが多い。
例えば自動車の鍵穴などは潤滑というより、従来入っているグリスを柔らかくしてタンブラーの動きを良くしてピッキングしたりしている。逆にスプレーしないとタンブラーの動きは緩慢なのだ。
住宅用の鍵穴には古い油やごみなどを一掃し、タンブラーの動きを良くするために使っている。
反面、油が乾きやすいのがやや難所なのだが、先にも書いたようにそれによる不具合は10数年の間に受けていない。
自分の経験を信じてやっているのだが、メーカーのホームページの記載がそうだと言われてしまうと、反論できない。
とりあえず分解・・・今回は完全にOHしてみた。汚れかな?とは思ったが思いもよらないことを見つけてしまった。
鍵を抜き差しするとロータリー式のタンブラーが追いついていないのだ。
つまり高さを感知していない状態で鍵で回そうとしても、回らないのは当然。
対策をするにはやはり潤滑スプレーで動きを良くするしかない・・・ここはお客さんの許可を取り、洗い流すように洗浄した。。。
鈍かった動きは直り、鍵に対し素直に反応するようになった。
組み立ててやれば全く問題なく動く。
そこでお客さんが興味深い一言が・・・
「先日の嵐のような雨の後で管理人さんが鍵穴にメーカー純正のスプレーを吹いて回ったみたいだった」
そう、お客さんが自前で買ったメーカー指定のこのスプレーだ。
他の世帯でも回り難いという事案があり、気を回してやっているようだ。
しかし・・・お客さんにこのスプレーを借りて自分の指先に吹いてみると・・・白いサラサラな物が付着、これが摩擦を減らす成分なのだろうが同時に少し粘っこい油が流れ落ちないようにと一緒に吹きつけられた。実はこれがタンブラーに付着し動きを悪くしていたようだ。開き難いと言われると自縄自縛で益々大量に吹きつけていくため、やがて鍵の穴に反応しない状態に陥ってしまったのだ。
前回作業した後に、どうもこの動作があったようで、それが今回回らなくなった原因かと思われた。
今回もメーカーのお触れを裏切ることで、復旧させた。
メーカー規定値・・・それが必ずしも正しいとは思わない。
ましてや純正の油があってもそれが機能する部分には良いのだろうが、今回はまさに裏切られた形だ。
実際、自動車のイモビライザ-をやってる自体がメーカーに背信している行為なのだ。
あの登録作業はメーカーに言わせたら不法アクセスで社内違法なんだとか・・・でも、お客にとってはやってもらった方が良いことだったが。
自分の愛車もそうだしなあ・・・必ずしもメーカー規定値が一番とは限らない。色々チューニングしたり、状況に合わせたりしている。
当初はメーカーホームページの文言を真に受けたお客さんも、作業を目の前に見ていてそれが全て正しくないと理解できたようで、それはそれで頭でっかちにならずに良かったかな。
この作業の後でまた管理人がスプレーをし直さないようにただただ願うだけだけど。
もう、あの細かな作業を外でやりたいとは思わない。