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2016.07.17
玄関錠開錠 (沼津市)
夜8時からの公営住宅での安否確認であった。
公営住宅は何度か強制執行などで県や市の仕事をしているが、あの団地特有の鉄扉にミワのPMKが定番で、シリンダーは殆どU9かURのサイドバーシリンダーに変えられている。
今回も破錠を前提で出動。しかし、現場が5階・・・電源確保がまず厳しい。コードドラムから長さが足りるか?
それより一度5階に上がって、現場確認後にドラムを持ってケーブル垂らして、そして一旦おりてからまた破壊道具を持って5階に上がるのか・・・とっとした運動だ。
入電からほぼ20分で現着、警察官に会い現場へ向かう。
まずは破錠なしの姿勢で、開錠工具とポストセーフが使えるかもしれないので正統派装備で5階に上がる。
運動不足の体には5階までの徒歩はなかなか厳しい。
多少息切れしながら部屋の前に着く。
この建物は部屋によっては旧来のミワのディスクシリンダーがついてるようだ。
そして該当する部屋も・・・ラッキーにも変えてなかった。
これで鍵屋さんらしくピッキング開錠ができる!
内心を表にあらわさず作業開始。
難なく開錠したが・・・それからの結末は残念ながら最悪であった。
扉を開ければ普段履いてるらしい靴が整然と置いてあった。
まずは立ち合いの警察官が室内へ入り、間もなく出てきた。
居間にテレビが付いた状態で倒れているそうだが、既に死亡と判断された。
もちろんこの警察官が医療に関する知識を持ってる訳ではないだろうが、少量の脱糞の跡があり状況からの判断らしい。。。確かにそんな臭いも。。。
人身事件となるので交番の警察官から管轄が県警察本部となり現場は保管され、閉鎖となり本来一番心配な遺族さえ中に入れない。
まだ死臭も出ておらず警察官の話では死後膠着も出始めた頃らしいので、遺族感情としては声を掛けて生き返らせられるかもと同情してしまう。
仮に仮死状態だったとしても、本庁の刑事や検死官が到着するまでに確実に死んでしまう。なんとも切実。
県警察本部が到着するまで約1時間。
ようやく現場検証が始まり、遺族が呼ばれ対面できたようだ。
私も証人として残ったが今日は出番はなかった。
これまでも幾度かこういうケースはあった。
腐敗しきったものや、ミイラ化したもの、自殺で死後間もないものも。
逆にまだ息がある状態だったことや、なんのことはない寝ていただけなんて笑っちゃうケースもあった。
それでもいつも思うのは、あともう少し到着が早ければ・・・ということだ。
遺族が異常に思い、業者や警察官を手配してる時点でアウトかもしれないが、死後間もないと聞くと、ここでの5分や10分の節約は意味が無いかもしれないが、もしかしたら・・・とは思ってしまう。
そして、これも毎度思うことだが自分の使命とは?
今回も遺族に「助かりました」と最後に礼を言われたが、助かっちゃいない。
まあせめて、早く発見できて、綺麗な状態を見届けられたという意味だと捉えている。
ドアを開けなくちゃその先にある事実がなんであろうと進めない。
その案内役であることは間違いない。
決して派手で儲かる格好良い仕事じゃないが、やはり自分でできる最大限のことはやりたい。
それが社会への奉仕なのかな?
代金はいただくがその中での最大のパフォーマンスをいつもしていたいと改めて思わされる。