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2025.08.26
集合住宅開錠 空室と聞いたが!(熱海市)
設備業者から集合住宅の開錠依頼。
元々国で管理していた団地を民間企業が払下げを受けたのか現在管理している。
何度か強制執行で臨場したこともあり、直接作業依頼を受けていたこともあったので当時の指定請求書などもあるが、今は設備メンテナンスが多く管理も設備の一環ということで元受けを置いての契約となっている。
そもそも作業は年に1度あるかないかだ。
以前あったのは個別の部屋ではなく配電盤の鍵の交換だったりなので、確かに設備の一環だなあ。
お陰で現場では色々な齟齬が生じたりしている。
配電盤などはまだしも、個々の部屋となると鍵屋としてはかなりハードルが高い。
例えば入居状態なら居住権が生じており、管理業者の一存で開錠したり鍵を変えたりすることは非常に難しい。
中国ではこの辺は持ち主が強いらしいが日本は放置国家なので財産権と居住権の争いとなる。
実際居住権がつくと家賃不払いなどがあってもなかなかそれを契約を解除して排除するのは手間がかかる。
多くは民事裁判で勝訴して入居者を追い出す作業となるが、一朝一夕にはいかない。
そもそも判決が下るまでおおよそ半年~1年かかるし、いざ執行となっても催告をして断行まで1か月掛かる。
費用も弁護士を雇っての裁判なので50万円~100万円と聞くし、執行作業で100万円くらい掛かっているようだ。その中には弊社の開錠費用やシリンダー交換費用も入るのだが。
ただ水道設備業者には多分そうした法的な観念がないと思われる。
今回も部屋の開錠は既に入居者はいない空室状態という話だったのだ。
開錠したら生活感一杯。
さすがにこれは・・・。
何をもって空室と言うか。
察するに協議の上で契約を満了としたのだろう。
なぜしたかは色々想像できる。
入居者が例えば病気で入院したり、高齢で施設に入ったり、あるいは亡くなったり。
それで家財道具は処分・・・ということで合意したのでしょう(かなり良く解釈してます)
ただ第三者の目線では両者の合意は見えないこと。
それに居住権という壁が不動産業者には一番厄介だと思う。
何せこの居住権は物件管理会社やオーナーには全く利益をもたらさない縛りのような法律。
自分の物件でも自由にできないもどかしい権利なのだ。
それだけに紛争となりがちで裁判となる。
そんな光景を日々目にしてるだけに、これについてはさすがに元請けに一言苦言を言わざるを得なかった。
仮に入居者が室内で倒れているか確かめたいということでも、弊社は警察の捜査権を使うために警察官を立ち会わせる。
万が一、病気でも倒れていれば第一発見者となるからだ。
そして実際あったことだが自殺間際だったりした場合も人身にかかわると非常に厄介。
事件なのか事故なのか・・・他殺なのか自殺なのか・・・他殺なら第一発見者は有力な情報保持者かもしれない。
更に救命活動はしたのか?なぜ死亡と断言できるのか・・・。
まあ関わる必要がないことに労力を費やさなくてはならない。
実際本当の住人かもしれない人と思われる電話が連日入る。
そもそも住人という証明もできないのに鍵を開けて!って言われる。
相手からすれば当然権利を持ってると思ってるだろうが、それをどう証明するかが法治国家に住む人間の役割だと思う。