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2019.08.20
勝手口封鎖作業 (静岡県熱海市)
同業者でも痴呆掛かった高齢者の扱いに苦労されてる方は少なくないと思う。
間違っても金づるになんかしてないだろうなあ。
何が苦労かと言えば、最初はシリンダーの交換で入電するので疑いなく施工してしまうのだが、日を追って「先日鍵を交換したのにまだ外部進入がある」と言い始め、「物が盗まれる」「鍵は全本数無くさず持っているから開けて入られる」とまで言われる。どんな高価なシリンダーをつけても全く効果は無い。
ちなみに盗まれる物は食料品や雑貨、下着など衣類、・・・で金銭は無事。
この辺は結構共通している。
弊社にも何件かそんなお客さんがいる。
酷い方だと毎週電話を掛けてくる方も。シリンダー交換で気持ちが安心できるのならそれも悪い話ではないのだが、この症状が見られたら極力様子を見るたり、別居してるなら家族に連絡を取ってみることなどを勧めている。
どうしても物が取られるなら警察に被害届をと言うのだが、不思議とこの辺は避けるようだ。
弊社で交換作業をしないと他の業者にするお客さんもいるから、自由経済だとなかなか難しいところだ。
今回のお客さんも90歳手前と言う、私の母と同じくらいだがもっと年を取って見える。年金暮らしで決して楽な生活じゃないだろうから、なるべくシリンダーの交換を言われると先延ばしするような口ぶりで逃げていた。
6月に最後の電話があり、海外出張などの用事が重なってたこともあり行かなかったのだが、8月中旬まで連絡も無かったので忘れたかと思ったら、久々に電話が来た。
訪問しないと虫が収まらないだろう。
とりあえず言われることを受け止めようと向かったら、案の定勝手口のシリンダーは他の業者がもっと安いグレードの物に替えて行ったようだ。
でも今回のオーダーは、今着いてる錠を全部撤去してくれと言う。
主錠として円筒状、他に補助錠が2個装着され全部を撤去と言うのだ。
どうする気かと思えば、木材で締め切ると言うのだ。
既に木材は手ごろな寸法でカットされた物を用意してあり、それを釘打ちして欲しいと。
これまで勝手口から出入りし、玄関は閉め切って使ってなかったが、今後は玄関を使い、勝手口を完全に封鎖するそうだ。
ちなみにセキュリティとしては意味がない。
玄関ドアと勝手口ドアの主錠は同じ円筒状。
それでも本人の一念発起に厚い木材4枚をドアの枠に打ち付けた。
「これで大丈夫」
そういう高齢者の安堵の顔、少し疑心暗鬼を忘れて欲しいものだ。
錠交換のお客さんは失ったけど(多分)、ドアを閉鎖する手段を見つけられたのは良かったと思う。
でも世の中、食いものにされてる高齢者は少なくないのだろうなあ。
#沼津の鍵屋、#静岡県の鍵屋