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2022.08.09
MIWA PR シリンダー 破錠作業 (静岡県沼津市)
正直やりたい仕事ではなかった。
できることなら他の業者に発注してもらいたい、そんな作業だった。
連絡があったのが以前から付き合いのある弁護士からで、名前を言えばすぐ分かる。
その弁護士から市内のマンション名を言われた時にこちらも名前で分かった。
街中にあるセキュリティマンションで一度シリンダーの不具合で修理に訪れたことがあった。
駐車場の利用ができず近所のコインパーキングを利用して道具を持って修理に臨んだ。
どんなシリンダーがどういう感じで装着されてるか、忘れてしまったわけではないので、「開錠をお願いします」と言われても「壊すしかないですね」と返答するしかなかった。
色々面倒くさい訳アリな物件らしく「どこかに開けられる業者ないですかね?」と何とも不躾な質問が飛ぶほど向こうも困っていた様だ。
しかしながら、裁判所と打ち合わせたうえで、壊すことに決定したらしい。
最初の問い合わせから1か月ほど経っただろうか。
打ち合わせ時に断行まで段取りを指示され、取りあえず逆マスター仕様でシリンダーを用意して欲しいと依頼を受けた。
ご存じマンションにはエントランスのロックと部屋のロックが共通して1本の鍵で使える逆マスターという仕様で各部屋のシリンダーは作られている。ただこれは個々の鍵業者にデータがあるわけでなく、メーカーに個別マンションのデータがある。仮に100室あるマンションなら101室目という形で延長し新規のシリンダーを作成してもらうのだが、通常1.5か月という納期で言われるが最近は別件含めて1か月程度で入荷してきている。
壊すにも段取りが必要、この辺のホームセンターで24パイのホルソーが軒並み品切れというかまるで品番落ちみたいに無くなった。25パイで代用していたが少し大きいので、できれば24パイが欲しいなあ・・・と郊外のホームセンターへ走ったらあった。
ホルソーのパイロットになるブランクキーもカットして準備万端、万が一切削に難があれば25パイがあるさ。
そう思って現場へ、催告当日破壊作業時間は5分程度と見積もっており、むしろ頭の中は次のシリンダー交換に行っていた。断行日までは暫定にU9シリンダーを装着することに。
このタイプのシリンダーはホルソーを使用して内筒を引き出す作業となってしまう。
得意?なシリンダーを切ってしまうやり方ができないのがもどかしい。
ドリルに装着しホルソーを進める、表面の金属が削れ、蓄光のプラスチックが削れたのかカスが吹っ飛ぶ・・・ところが、その先に歯が進まなくなってしまった。
おかしい!パイロットがつかえてるのか?
ドリル本体をきつく押さえつけたが金属粉が飛ばず、熱が段々上がってるのが伝わってきたので一旦歯先を見たら、負けて丸くなっていた。
これはヤバい、スペアの25パイに替えてみたが30秒程度で結果が出た。
手持ちのホルソーでは歯が立たない、かくなる上は・・・シリンダーの表面を壊しタンブラーを1枚1枚捻じり壊していった。
マンションの通路、直射日光は無いものの風通しも悪い。
35℃の外気温で汗をかくなというのが無理な話。
約2時間の作業、体内の水分が入れ替わったほど汗を流しようやく開錠!
幸い、2ロックあっても片方しか掛かってなかったのがせめてもの救い。
用意したU9の暫定シリンダーを装着し、2ロックのうちもう1つは手持ちの廃棄シリンダーを装着し、また住人(債務者)が施錠しないようにダミーシリンダーを装着した。
かなりヘロヘロになった作業。
日頃楽してるわけじゃないんだけど、疲れた。
1か月後に断行となり室内の荷物は強制的に出され、債権者に引き渡しとなります。